冷たい風がボクの頰を撫でて、ふと目が覚めた。
最初に視界に入ってきたのは、見慣れた白い壁でも、茶色のフローリングでもなく____
暗雲漂う、天気の悪い空だった。
寝ていた筈の柔らかいベッドは無くなっていて、ボクは灰色の段ボールの中に居た。状況が理解出来なくて、パニックになりそうなボクを、体の下に敷いてあるオレンジのタオルが引き留めてくれた。あの人の匂いがするタオル。
___そうだ、あの人は何処に行ったのだろう?此処は何処だろう?お家の中じゃないって事しかわからない。
此処で待っていれば、迎えに来てくれるのかな?
きっとそうだ。
あの人が来てくれるまで、もう一眠りしよう。