デュラララチャット(仮)BL掲示板

BLに関する雑談をしたり、BL要素を含む成りきりの募集をしたりするための掲示板です。

  • 謎の小説置き場

    月の光
    No.173076
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    …遠くから、定期的なリズムで電子音が鳴っているのが聞こえる。
    かすかに香る薬品のような匂い。
    柔らかい自分の上にかかる布団のようなもの。どうやら俺は、横になって寝ているらしい。
    ここは、おそらく病院だ。
    病院…?
    俺は今、どうなっている?体の至る所が痛くて、身動きが上手くできない。
    「っ…。はぁっ…。」
    ただ自分の呼吸音が聞こえるだけで、かすれて声が出ない。何がどうなっているんだ。
    困惑しながら俺は恐る恐る目を開けた。体は重く、動かせないために首だけで辺りを見回す。
    窓から差し込む日差しが眩しくて、俺は顔をしかめた。時計を見ると12時を軽く過ぎた頃だった。
    反対側を見ると、棚の上にいくつもの菓子が置いてあった。誰かが見舞いにでも来たのだろうか。一体誰が?
    そこで俺は気付いた。気付いてしまったんだ。
    ー自分が誰なのか思い出せないことに。

  • 月の光
    No.173096
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    なぜ思い出せない?俺は誰なんだ?どうして、病院なんかに?
    わからないことが多すぎる。情報が足りない。
    突然のこと過ぎて俺は混乱を隠せなかった。色々な疑問が頭の中をぐるぐると回り続ける。そうしているうちにだんだんと息が荒く、心音は激しく、腕は痙攣し始めた。

    どうして、どうして、どうして、どうして俺は__
    …たまたま通り掛かった看護師が駆け付けてくれたために俺はその後すぐに落ち着くことが出来た。
    しばらく経って、医者から俺の名前は榎本 柚莉(エノモト ユズリ)だと聞いた。
    俺の記憶喪失は一時的なものかもしれない、心配しなくても大丈夫だと言われた。
    俺の母親だと言う人も見舞いに来てくれた。泣きながら俺の名前を呼んで、良かった、大丈夫?つらくない?元気にしてる?ってずっと心配してくれていた。
    こんなにも愛してくれている人を、覚えていないことがとても申し訳なかった。
    そして、俺には全身の打撲痕や擦り傷に、全く身に覚えがない。
    ある日の検診の日、俺はここに運ばれた時の状況を聞いてみた。
    すると、医者は一瞬口篭り、道で怪我をしていた所を救急搬送されたとしか言われなかった。
    明らかに何かを隠している様子だったが、それ以上聞くのを許されなかった。

  • 月の光
    No.189876
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    俺は定期検診も終わり、病室で1人暇を持て余していた。
    なんせ、携帯もパソコンもゲーム機も使っちゃいけない。あるものなんてテレビと本ぐらいだ。テレビだって平日の昼間に面白いものなんてやっていないし本だってもう序章を見ずに言えるほど読んでいた。
    ただ何もせず、窓の外の景色を眺めていた。
    ここは2階だから、ほんの少しとはいえ景色は悪くない。病院の広場で遊ぶちびっこをただぼんやりと眺めて過ごすことが多くなったな、なんて考えていた。
    ふと、その広場でしきりに周りを見渡す男がいた。誰かを探しているように見える。
    すると、俺の部屋の窓の方を向いた、と思えば俺と目が合った。
    男は、双眼を細めて笑いかけてきた。
    そして、口を開いて呟いたように見えた。
    _『見つけた』と。
    その瞬間、俺の心臓が大きく、速くなった。
    何故かはわからない。でも俺の全身が、危険信号を出している。直感的にそう感じた。俺は無意識にナースコールに手を伸ばし、押した。
    ダメだ、今は誰かと一緒にいなくちゃいけない。あの男は誰なんだ、一体なんなんだ。
    そんな考えを頭にめぐらせながらもう一度窓の外を見たが、既に男の姿はなく、見えるのは無邪気にはしゃぐ子供だけだった。

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