よその本丸の一期一振とその弟達でございます。燭台切どの、御機嫌よう。
ぼとるめーる。海辺の方に出かけた弟達がにぎやかに瓶を持ち帰ってきましたので、主の許可を得て開封したのですが…なるほど、海を渡って取り交わすとは面白いですな。乱なぞ、瓶そのものが可愛らしいとはしゃいでおります。
好物、ですか。今、文机に向かう私を弟達がずらりと取り囲んでおりまして、流石にその好物を全て書き連ねるわけにもいきませんな。甘味はみなが好みます。当本丸の燭台切どのが焼いてくださるかすてら、あれは実に美味ですな。お八つにひとつふたつ余りが出ますと、取り合ってうっかり喧嘩になるほどです。燭台切どののところではどのような甘味が人気でしょう?
かれーらいすは当本丸でもとても人気があります。辛口と甘口の両方を作るのはどこの本丸でも同じのようだ。大抵は身体の年頃に舌も引っ張られますゆえ、弟達の多くは甘口を選びますが、(濃度の異なる墨で横から乱雑に塗りつぶされた痕)…ふふ、これは言われたくなかったようです。失礼致しました。
当本丸は只今秋の景趣を選んでおりまして、先日主がお植えになった金木犀が本丸いっぱいにその香りを漂わせています。いや、見事なものですな。血の通わぬ鋼の身なれど、どこか懐かしいように心を抱き締める良い香り。
その香りを燭台切どのにもお分けしたいと、弟達が横で熱心に匂袋をこしらえております。この文と共に瓶に詰めておきますので、差し支えなければ受け取ってやっていただきたい。乾いた花と塩とを使ったもいすとぽぷり、というものだそうです。