「歩く」
もう全てが全てが全部が僕の味方ぶって
偽善者づらして土足で偽りの慰めをしに入り込み自分が汚した泥の存在すら気付かずに「頑張って」なんて言って次々去っていく。そのあとあんたが知らない間に惨めに掃除をさせられるこっちの感情なんて分からないんだろうね。「分かるよその気持ち。」なんて言うけど実際あんたは何も分かってない。現実から友達ごっこしてる仲間と逃げ回って目をそらし続けている。
そんなあんたに、たくさんの物を持っているあんたに全てを失った僕の気持ちなんて
…分かってた。あんたが何も分かってないことも、分かろうともしてないことも。
なのにすがった。この惨めさが、あんたに…ってあんたは分かろうとしてないことは分かってたんだ…なのに今こうやって分かって貰おうとしてしまった…自分が何をしたいのかも何をしているのかも分からなくなって、ただ落ちて落ちて落ちて、水の
底で息が出来なくなってようやく知った。
「何も分かってないのは僕なんだ。」と
もがいたって足掻いたってもう上へは上がれない。どんなに手を伸ばしても、届きはしない。ただ頭の中でひたすら呪う。
あんなことしなければ…こんなことしなければ…ただ惨めに憐れに呪いもがき叫ぶ。
…目を閉じ、諦め、力を抜く。
でも、手が上から伸びてきて、自分を救ってくれた。この人なら、でもまた突き落とされるかも…そんな思いが頭をよぎるが、のちに全てを忘れさせる。その場の楽しさを喜びを生きているうちに落ちる前に楽しい方へ楽な方へ手をひかれて自分では歩もうともせずにただ手をひかれ、落とされ呪い絶望と憎しみと悲しみと…いろんな感情が入れ混ざって自分を作っていく。すがり、嘆き叫び…また皆と同じ方を向く。
自分の色、個性、感情。それらに気付かずにまた歩く。歩いて、歩いて、転び、泣き、自分の物を捨てて、身を軽くし、また歩く。足跡を残そうと、力強く踏ん張り、努力する。笑われたって見下されたって、自分にはそういう生き方しか出来ないから。笑われたっていい。見下されたっていい。それらから手に入れた思いを胸に抱き
また今日も歩く。歩み続ける。
人生とは多分、そのように出来るものなんだろう。
以上。「歩く」でした。
ここまで読んでくださった皆様。
本当にありがとうございました。