デュラララチャット(仮)BL掲示板

BLに関する雑談をしたり、BL要素を含む成りきりの募集をしたりするための掲示板です。

  • 流しの下

    流しの下の鼠
    No.2113047
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    やぁ、こんばんは。こんなところに頭を突っ込んでどうしたのです。住処にしている僕が言うことではありませんが、大きくて、長くて、あまりひらべったくないあなた方にとって、そう心地の良い場所ではありませんよ。それに、こんなところをわざわざ見に来たとて、みすぼらしい鼠が一匹、与太話を口ずさむばかり。何が悲しくて、流しの下など覗きこまねばならないのです。
    いやなに、構いませんよ。不快でないのならどうぞごゆっくり。しかし、もし不快ならば(自分でしたことと言えど予想とは異なる結果が得られることなど世の中には多々あることですからね)……悪いことは言いません。なるたけはやく、その頭をその扉から引っこ抜くとよろしい。
    先程も言いましたように、覗いたところで面白いことはありません。鼠が一匹、世迷言を呟くばかりですので。

  • 流しの下の鼠
    No.2113116
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    さて、壮大な保険をかけに掛け倒した所で。僕は今非常に困っているわけです。いや、非常にと言うほどでは無いか。僕は職に窮している訳でも食に飢えているわけでもありません。
    しかし、急を要する事態ですから、やはり非常にと言わざるを得ないのです。
    僕は今現在、糸の切れた凧、電池の切れたブリキ人形、燃え尽きた灰、そんな所でしょうか。気力という気力が失われたどうにも不安定な存在に成り果てています。
    それだけならとっとと寝ろと己を叱咤し、ティッシュとおがくずで出来た愛しの布団に潜り込むところなのですが、そうもいきません。なぜなら、今は11月頭、秋だからです。(11月が秋か冬かという議論はまたの機会にしておきましょう。僕の中ではドングリが落ちているうちはまだ秋なのです。)
    察しの良い方ならばお分かりでしょう。要するに、燃え尽き症候群の端くれが、寂寞の思いに囚われている。そういうことです。
    鼠は仲間が多いですから、友達もあれば番もあります。しかし、僕はとても気位ばかり高い鼠なので、そのようなみっともないところを進んで見せるわけには行かないのです。故に、こうして排水管のシミに向かってちぅちぅと話しかける羽目になっているわけで。もう少しばかり僕が自己開示の心得のある鼠だったなら、せめてもう少しばかり、プライドを齧って削り落とせたならば、僕は知り合いの誰か一人とでもこの鬱々とした面倒くさい心情を分かち合うことが出来たかもしれないというのに。まったく、世の中はままならないものです。

  • 流しの下の鼠
    No.2113153
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    ひとまず眠りは全てを放置するという猫の教えに従い入眠します。時間と距離を置くことで見えてくるものもあるかもしれない、と言い訳しつつ。

  • 流しの下の鼠
    No.2114421
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    鼠です。今日も今日とてパンくずやら胡桃やらを求め駆けずり回る僕ですが、近頃は冬を越すための備蓄まで集めなくてはならなくなったものですから、それはもうてんやわんやソワンワなわけです。
    それでも夜になればやはり襲うのは寂寞の……待て、割と今はもっと現実的な、あれだ。腹痛。

  • 流しの下の鼠
    No.2114489
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    心配はいりません、感染性のものではありませんので。確かに鼠は不潔の象徴として忌み嫌われるものでありますが、僕は清廉潔白清潔の徒。きちんと毎日風呂にも入れば朝晩自慢の前歯も磨いております。
    それはさておき。定期的に襲い来る腹痛には対処しようがないので、やはり今日も眠りに全てを丸投げしてやることとします。

  • 流しの下の鼠
    No.2115361
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    明日は休み、そう思うと心が穏やかになり。明後日からは怒涛の毎日が繰り返される、そう思うと惨憺たる気持ちになる。そんな鼠です。

    ですので、せめて明後日からの戦いに万全な状態で赴くべく、今朝、つやつやぷくぷくの坊やがそのむっちりとしたおててから落っことしたらしきたこさんウインナーを丸ごと一本。夕飯に食してやります。なんて贅沢!

  • 流しの下の鼠
    No.2115728
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    満腹。
    何事も満たされているのは良いものです。

    僕には番があります、半月…人で言うところの数年分年下の可愛いやつで、そのくせ格好つけたがりで、なのにそれが妙に格好ついてしまうという恐ろしい子です。
    今は訳あって別々に暮らしていますが、いずれは同じ巣穴で静かに暮らしたいものです。

  • 流しの下の鼠
    No.2116173
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    紫陽花の香りがするという香水の、吹きかけた瞬間に沸き立つなんとも瑞々しく草らしい、青い匂い。嫌いでは無いがあまり好きでもない。

    しばらくするとなんだかよく分からないいい匂いがもっふりと横たわっている。
    香りが落ち着いたあとの方が好きなので、そんなに好きではない青い草の匂いも一緒につけることになります。すると何度かするうちにあまり好きでなかった香りも割と気に入ってくるものでして。尽く感性というものは、繰り返しによって培われていくのだなぁなどと考えるわけです。

  • 流しの下の鼠
    No.2116520
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    年下の番には長いこと会えていません。大怪我を負い治療中なのだとか。実の所、彼の言葉が情報の全てで、それが事実か否かはシュレディンガーの猫ならぬ掲示板の鼠なわけですが。
    しかし、彼がそう言うのであれば、僕はそれを信じてやる他はなく、時折送る手紙にも「治療優先、よくよく身体に気をつけ一日でも早く回復するように」としか書けないのです。

  • 流しの下の鼠
    No.2116794
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    今日のおやつは背のひっくい円柱型の生地にカスタードクリームが詰められた昔ながらの菓子です。今川焼き、回転焼きと、地域によって呼び方がそれぞれ異なるそうなのですが、鼠の住む家では大判焼きと呼んでいます。近所のたい焼き屋さんがそう呼んでいるためです。

    鼠は長らく大判焼きと言えば餡子だろうとそればかりを好んで食してきました。しかし、ここ数ヶ月の間にカスタードの美味さにも目覚めてしまい、最近はもっぱらカスタードばかりを食しています。
    そのうち抹茶だとか、なんか、あまり見かけないようなやつにも手を出し始めないとも限りませんが、それは今現在の鼠が知るところでは無いのです。おすすめがあれば是非とも教えていただきたい。

  • 流しの下の鼠
    No.2116837
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    雑談は嫌いではありませんが、時々相手の心情を襤褸雑巾にするようなどシリアス展開を広げたくなる性分でして。
    しかし、それに付き合えるような酔狂な方は少なく、今日も今日とて呑気な雑談に興じることになるのです。

  • 流しの下の鼠
    No.2117339
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    日曜の夜になると激しい焦燥感に見舞われます。ああまた何もせずに休日を浪費してしまった、もっとあれもこれも済ませてしまわなければならなかったのに……そう思いつつ来週も再来週も貴重な休みを寝て過ごし、気づけば定年になっているのでしょう。

  • 流しの下の鼠
    No.2118551
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    平日、一日目終了。
    今日も番からの返事はありません。

  • 流しの下の鼠
    No.2120151
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    平日、二日目終了。
    既に疲れは木曜日のそれと酷似しているので、もはや今日は木曜日と言っても過言では無いと思うのですが、いくら駄々をこねようと世間的にはまだ週は二日目。明日も鼠はその前歯とびろうどの毛並みをすり減らしながら明日の糧を得るのです。

  • 流しの下の鼠
    No.2121295
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    平日、三日目終了。
    実は金曜は休日なので平日は明日で一旦終了なのです。一時の休息を励みに日々を過ごしていく、これが現代社会の鼠の生き方。
    (とはいえ、悲しきかな、その休みも年に一度の健診のためなので、純然たる休日とは呼べないのです。)

  • 流しの下の鼠
    No.2121526
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    今日は厄日でした。仕事では二度に渡り下手を打ち、友人にスタンプを贈れば本人不在の幽霊アカウントであることが本人からの連絡により発覚し、歯ブラシを強く当てすぎたことで歯茎が傷つきそこから発生した口内炎が痛み、番からの連絡は変わらずありません。
    お分かりでしょうか、9割方自業自得なのです。むしろその事実に僕は霙のごとく打ちのめされています。
    嗚呼神様仏様御猫様。僕に救済を。

  • 流しの下の鼠
    No.2122582
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    平日、四日目終了。
    明日は待ちに待った健康診断。昨年の僕は採血の際に腕の神経を針でぶっすりやられたらしく、痺れに似た激しい痛みが動かす事に腕を襲うという苦行をひと月ほど強いられる身となりました。今年は何事もなく平穏に済むことを願うばかりです。

  • 流しの下の鼠
    No.2122723
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    普段暮らしている地域は過疎の一途を辿り、部屋を立て、通り過がりを待てど、暮らせど誰も通りはしません。
    道行く人よ「この部屋気になるけど最近やってないしな〜」と思ったならば、ぜひ足を踏み入れていただきたい。上手い下手の問題では無いのです。人がいるか、いないかの問題なのです。
    例え好みが合わず十分足らずの滞在であったとしても、まだ往来の全てが途絶えてはいない ということが大切なのです。

  • 流しの下の鼠
    No.2128190
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    休みの終わりになると行きたかった場所を思い出すのです。きっと僕が気まぐれに水路に飛び込まないよう、未練を残させているのでしょう。

  • 名無し
    No.2128204
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    鼠さん鼠さん、いや僕には何も見えていないんですけどね。ここに少しばかりマドレーヌを置いておいたら食べてもらえるだろうか。誰も食べなければ明日片付けておくのでお気になさらず。
    寒くなってきたから身体には気を付けて、と誰にともなく独り言でした。

  • 流しの下の鼠
    No.2128236
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    こんばんは、鼠です。
    実を言うと、僕はスコーンやフィナンシェなどの素朴な焼き菓子が大好物でして。もちろんマドレーヌも例外ではありません。どこのどなたか存じませんが、この憂鬱な時間帯になんてすてきな贈り物。早速頂くことにします。

  • 流しの下の鼠
    No.2129080
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    寝入り方、番が半月ぶりに連絡を寄越す夢を見ました。いやそんなはずは無いだろうと思いながら目を覚まし、事実、夢でありました。
    今朝も確認しましたが、やはり夢は夢のようです。

  • 流しの下の鼠
    No.2131802
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    日に日に帰りの遅くなる鼠です。帰れば水浴びをし、夕食を食べ、床に入る。終わり。
    ひと月程度、期間限定セール中のこの日々ですらどこか生きる意義を見失いかける有様であるというのに、これを年中無休で行っているシャチクの皆様はなぜ生きていられるのか、甚だ疑問です。全てのシャチクの頭上に、チーズが降り注がんことを。

  • 名無し
    No.2131809
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    お疲れな鼠さんにもチーズの幸あれ。ついでにナッツも添えてみようか。
    お口に合わないようなら明日片付けておくのでお気になさらず。
    流しの下だと寒くないだろうかと少々心配になるのだけれど大丈夫?

  • 流しの下の鼠
    No.2132226
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    度々の気遣いに差し入れ、痛み入ります。最近はしっかりと温かくして寝ているので風邪を引く心配はなさそうですが、雪が降る頃には冷蔵庫の裏にでも引っ越すことにしましょう。知っていますか、冷蔵庫は年中無休で動いている上に熱を奪い中のものを冷やすため空気ファンか何かのそばは温かいのです。

    ちなみに、僕はアーモンドが苦手で胡桃が好きな鼠なので、ぜひ参考にしてください。

  • 名無し
    No.2133405
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    上で差し入れをしていたお方と違いますけれど、使い捨てのカイロと胡桃を差し入れさせていただきます。カイロは温め過ぎないようにしてくださいね、やけどしてしまうでしょうから。では、僕はこれで失礼いたします。

  • 流しの下の鼠
    No.2134803
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    人様の家を借り、電源コードを齧り、食べ物をくすねる鼠になぜこうも優しい人々があるのか。
    そして、なぜそのような人々の全てが幸せでは無いのか。僕には分かりません。
    分からないままにしておきましょう。明日はきっと良い天気。

  • 流しの下の鼠
    No.2135047
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    ひとの優しさと温かさに触れて涙を禁じ得ない鼠です。日毎の一歩がこうして助けられ、果てのない旅路を続ける糧となるのでしょう。

  • 流しの下の鼠
    No.2140722
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    少しばかりお久しぶりの鼠です。
    今日はひどい失敗をやらかし、落ち込み、涙がちょちょ切れるどころかド溢れしてしまったわけですが、その代償に共に働く鼠との絆がやや深まったようです。

    そして涙でびちょ濡れの僕と日々差し入れをくれる誰かさんに朗報。番がようやく帰ってくるようです。めでたい。

  • 流しの下の鼠
    No.2142817
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    行かないで、楽しかった今日。

    と嘆いてみても、また明日からは箒や悲鳴飛んでくるお皿、その他諸々に追われる日々。
    先日頂いた胡桃の残りを齧りつつ床に入ります。

  • 流しの下の鼠
    No.2147443
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    今週はなんと三日ものお休みを頂いてしまった鼠です。決して先日の失敗との関係はありませんので悪しからず。まだまだしっぽをちょんぎられるには早すぎますので。

    ともあれ、せっかくのお休みは有意義に過ごしたいもの。手始めに僕は450g1000円と少しの良いバターを買ってきました、スコーンを焼くつもりなのです。以前話したか分かりませんが僕は素朴な焼き菓子が好物でして、ちょこちょこ自分で焼いては食しています。
    ついでに都合の良いことにイチジクのジャムを頂いてしまったので、付けるものまで完璧とあれば、これは焼くしかないというわけです。ああ、先日頂いた胡桃を取っておけばよかった。中に混ぜ込むと焼き菓子の甘く香ばしい匂いに胡桃の良さが更に引き立つのです。

  • 流しの下の鼠
    No.2148002
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    十日ほど前のことです。床に伏していた番が「六日後には帰る」と連絡を寄越しました。僕は大層喜んで、六日間、彼の帰りを心待ちにしていました。
    しかし、今現在、彼が手紙を寄越してから既に十日経っています。
    これはどうしたことでしょうか。

  • 流しの下の鼠
    No.2148380
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    やはり流しの下に頭をわざわざ突っ込む酔狂なひとはいないようで…日付を超える頃まで誰も来ないようなら部屋を畳むことにしましょうか。

  • 匿名
    No.2148957
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    ゆうべはありがとう。君があのあと良い夢を見たというのなら僕は嬉しい。
    しかしながら、失態を演じてしまったのは本当に申し訳ない。
    君が僕との話に満足したかはとても不安が残るところだけど、僕は君との話が楽しかった。君が言った、僕らが思うよりずっと多くのことを君らは知ってるって事も凄く興味深かったし、また今度話ができたらそれについて聞かせてほしい。僕も少し思うところがあったからね。らしくないことを思ったよ、まったく不思議だ。
    さて、次はなにを持っていけばいいかな?って質問は無粋か。馬鹿の一つ覚えみたいにまた君の好物を差し上げるとするよ。
    じゃ、また機会があれば酔狂にでもなんにでもなろう。時節柄、身体を大切に。
    お礼として使い捨てカイロを置いとくから、よければ使って。

  • 流しの下の鼠
    No.2149298
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    こんにちは、親愛なる御客人。こちらこそ退屈そのものの夜に花を添えてくれたこと、感謝申し訳あげる。とても有意義な時間でした。
    お気遣いありがとう。もちろんあの後はきちんとハンケチやらティッシュで出来た布団でぐっすりと眠ったから、今日も僕は健康そのものです。
    何も無い場所ですが、また機会があれば覗いてみてください。もっとも、僕らはいつでもあなた方の生活を見ていますけれどね。

  • 流しの下の鼠
    No.2151470
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    番が帰ってきました。

  • 流しの下の鼠
    No.2158711
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    一週間ぶりの鼠です。
    ようやく心の平穏を取り戻し、ふたり呑気にパンを齧っておりました。
    さて、起きたらば鼻が冷たい朝が増えてきました。引っ越さねばなりません。冬ごもりの季節です。
    というわけで朝から荷造りに追われる身です。冬の間だけなのでそう大荷物にはならないつもりですが、やはりあれもこれもになってしまうのがひとの……いや、鼠の性というものでしょうか。

  • 流しの下の鼠
    No.2196563
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    引越しを終え、色々買い込み、冬支度は万全。後はのんべんだらりと冬を越すばかりの鼠です。
    先日から雪が厳しくなりました。外に出ようものなら白くて冷たいもふもふに覆われ、文字通り鼠色の毛皮がまだら模様になります。寒い。

  • 流しの下の鼠
    No.2197644
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    じゃがりこ黒トリュフ塩味なるものを食してみた鼠、黒いじゃがりこという今までに見ない面白現象を楽しむ間もなく豊かな香りとまろやかな塩味に衝撃を受けています。うっま。

    誤解しないでいただきたい。僕は元よりじゃがりこの大ファンであり、期間限定品として出される味のその悉くが凄まじい味への執念により名前に恥じぬ素晴らしい再現度を誇ることはとっくのとうに知っているのです。
    しかし美味い。これは同時に購入したじゃがりこ にく!にく!にく!味(※正式名称です)とやらも楽しみで仕方がなく、1箱目を食べながら既に2箱目のことを考えている鼠です。

  • 流しの下の鼠
    No.2324702
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    冬ごもりを終え、明日は元の流しの下へ帰る日です。ひとりで。
    番は残念ながら冬を越せませんでした。寒さに耐えきれなかったのか、食料が足りなかったのか、はたまた春を迎えた先を見失ってしまったのか、僕には分かりません。

    いくら呼びかけても返事どころか聞く耳ももたない、つめたい彼の抜け殻は、此処に置いて行くことにしました。
    さようなら、出来ることならばあなたと春を迎えたかった。

  • 流しの下の鼠
    No.2325618
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    さて、そんなこんなで流しの下へ帰ってきました。行く時より荷物が増えものすごくごっちゃりしている。少しずつ片付けていくことにしましょう。

  • 通りすがりの油虫
    No.2325862
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    お気に入りの散歩道。何やら大店が広げられていると思ったら、貴方の物でしたか。冬の内、ここを真っ直ぐ言ったところ…嗚呼、いえ、右ではなく。左です。冷蔵庫の下に越してきました。旧姓は油虫。今は…言わない方が宜しいかな。何分嫌われ者でしてね。名も聞きたがらない方が、ぞろぞろと
    おっと、つい長話をしてしまうところでした。お片付けで忙しいでしょうから、私はこの辺りで。また日を改めて、蕎麦でも持って参ります

  • 流しの下の鼠
    No.2325936
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    ごきげんよう。ああ、申し訳ない。二日三日のうちには方が着くと思いますから、暫しこの狭い散歩道にも目を瞑っていただければ。
    改めましてご挨拶を。流しの下の鼠です。また冬が来るまではここらで過ごしておりますから、何かお困りのことがあれば声をかけてください。
    …おや、そうなると少し前の方がご近所さんだったわけだ。この冬は冷蔵庫の空気ファンのそばに身を寄せておりましてね、ご存知でしょう、冬場はあの辺がいっとう暖かい。存じておりますよ、あなた方の一族は本当に大家族で…僕らでもああは増えません。
    おっと話が逸れましたね。ご丁寧にありがとう、またいつでも遊びにいらしてください。

  • 流しの下の鼠
    No.2326452
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    ひとまず寝床を整えて、食料は隅の貯蔵庫へ。運んだ荷物は後回し。今は何より優先されるべきこと…つまりこの流しの下への帰還を大いに喜ぶことに精を出したいと思います。

    さてしかし、この喜びに水を差すものがあります。実の所、ここ数日僕は腰痛に悩まされているのです。何となくその原因は見えているのですが、かといってすぐさま取り除ける事柄でもなく。ひとまずはヨモギを揉んで貼り付け、陽にあたって温かくしている他無いのです。
    腰痛というのは恐ろしいもので、何をしていようと、どう動こうと必ず動かす部分ですから常に痛い。体をよくよく伸ばすことで一時的に痛みが遠ざかることはあれど、三十分もすれば必ず帰ってくるのです。親しげに肩を組みます、さも旧知の仲であるかのように振る舞います、常にうざ絡みして離さず、しまいには声高にお茶のお代わりを要求するのです。なんという厚かましさ!!

    そのような無頼の輩をいつまでも許しておけるほど僕は寛大ではありません。近くの按摩師にこの招かれざる客を一刻も早く追い出したい旨をお伝えしました。明日にはきっと返事があることでしょう。

  • 流しの下の鼠
    No.2327613
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    水曜になりました。きっとこれで良くなることでしょう。それまでは腰をいたわり、なるべく猫と猫背は避けていきたい所存。

  • 流しの下の鼠
    No.2331289
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    電気をしこたまビリビリされてきました。痛みの原因もうっすらと判明し、暫くは体をよくよく伸ばして労りつつ治療に専念していきたいと思います。

  • 流しの下の鼠
    No.2335095
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    最近推しが出来ました。推しという呼称が正しいのかまったく分かりませんが。

    思考を持ち生きるものたちは古来より己より上位の存在を信じ、心の拠り所としてきました。それが実際の物質として存在するか否かは問題とされないものであり、それを信じることで、また同じく信じるもの同士でそれを確かめ合うことで心の安寧を得る、そういうものです。ネガティヴを追い払うのはポジティヴではなく熱中であるというのは誰の言葉だったのやら。

    つまり、僕は複数存在する心の拠り所のひとつとしてその推しを選んだわけです。彼にとってはいい迷惑でしょうが、なるたけ負担をかけないよう心がけ、尚且つ彼にとって利のある振る舞いを惜しまない所存でありますので、まぁ、諦めていただきたい。

  • 流しの下の鼠
    No.2351307
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    窓の外でサクラが綻び始めました。何処からかフリージアの香りがします。遠く、ハクモクレンが青空に手を伸ばしているのが見えます。春ですね。

  • 流しの下の鼠
    No.2358147
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    子がひとり亡くなりました。
    11月末に産まれた蟷螂でした。これから雪も降ろうというその時期に生まれた子らの生存は絶望的。初めて出会った時は兄弟が多すぎて誰が誰やら分からず、あまりに小さなその体に面食らったのを覚えています。
    生まれて直ぐに食糧難で100から200ほど死に、残った50ばかりを何の縁か僕が育てることとなりました。
    兄弟同士でじゃれ合いついでに食い合い、一滴の水に溺れ、脱皮に失敗し力尽き、着々と数を減らす彼らをなるべく死なさぬように気をつけながら過ごした冬。
    流しの下に帰る頃にはその数はたったの2になっておりました。
    その頃には拙い言葉を話すようになり、「オナカスイタ」だの「アレナァニ」だのと質問責めに逢いました。
    昨晩最後の脱皮を終え、今朝、静かに横たわるあの子を置いて出ていきました。まさかそれが最後の別れとなろうとは。

    帰った時、最初に目に付いたのは腹の大きな穴でした。明らかに異質なそれに慌てて抱き上げると、ふっくらと大きかった身体はすっかり萎み、軽くなっておりました。食事にと置いておいた蟋蟀に食われたのです。
    嗚呼、ひとりそっとしておくべきだった。気を利かせたつもりで食事など用意したが故にこの子は死んだのだ。
    目から脳から内臓から、やわらかい所を全て貪り食われ、触れると僕のことも分からずジタバタと反射運動を行うばかりになったこの子を、僕は一体どうすれば良いのでしょうか。触れれば動く、けれどもこの子の魂は既にここには無いのです。

    何百の中唯一残った1は何も知らず葉の上で寝ています。悲しんでいる暇など無い、僕はこの子を来る夏まで育て上げなくてはならないのですから。

  • 名もなき害獣
    No.2358304
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    初めまして、こんばんは。初対面で烏滸がましいかとは思われますが、失敗など誰にでもあるものです、もっとも、今回のそれは失敗などと言う言葉では済ませることなどできませんが。
    もう過ぎたことは取り返せないのですから、悔やんでいてもその子が戻ってくるようなことはありません。まだ1、残っているのでしょう?死んでいった者共にやってやりたかったこと、それらの死から学んだこと、その1にやってやればいいのです。それでも、死ぬ時は死にます。1も、貴方も、もちろん私も。何をやっても死ぬかも知れないのです。それに、貴方が最初の兄弟たちが誰かわからなかったように、私たちも同じ様な者共の中に混じって仕舞えば誰が死のうが分かりやしない。私どもなんて所詮その程度の命なのです。貴方様もきっと私めに言われずとも分かっていらっしゃると思います。話が破綻しているでしょうか。それはともかく私が言いたいのは、所詮その程度の命が、どうか永く続きますよう、それだけであります。

  • 流しの下の鼠
    No.2358344
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    そう、はじめは僕も子ども、ましてや他種族の子など、育てかたは何一つ分かりませんでした。一滴の水に溺れさせ、食事をろくに食べさせてやれず、100も200も死なせたのもまた、僕なのです。
    そんな状態から、水の飲ませ方、食べ物の与え方を知り、少しずつ学び、懸命に育ててきたからこそ、少し考えれば避けられたはずの死が、悔やんでも悔やみきれない。いくら己を責めたとて、他の兄弟たちより幾分か臆病な性格で、食べ物のはずの他の生き物にすら悲鳴をあげて逃げ回っていたあの子は返らない。……分かりきってはいるのですが。

    そうです。明日には炉に投げ込まれる身、それが僕らです。けれど、残った子ばかりは、その程度の命とて、少しでも続くようにと願ってやみません。共に祈ってくれる方がいてよかった。あなたとあなたの大切な命も、一分一秒でも長く共にありますように。

  • 流しの下の鼠
    No.2365912
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    最後に残された1が、あの子の越えられなかった峠を越えました。最後の脱皮を終え、むちゃむちゃと食事をしています。
    この子は、今口にしているそれが兄弟の仇とは知りませんし、話しても分かりません。ただ目の前の美味しい食事を笑顔で頬張っています。今餌となっている彼らがあの子を食った時も、きっと同じだったのでしょう。

    生きるということは、善人であれ悪人であれ、誰かの餌になることだと評したのは一体誰だったでしょうか。
    ああ、そうしているうちに食事が終わるようです。口元をベタベタにした最後の可愛い我が子が、小さな鎌を振り回して呼んでいる。

  • 流しの下の鼠
    No.2381229
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    隣に蝸牛が引っ越してきたようです。立派な殻を持つ彼(蝸牛という種族は雌雄同体でありますので彼とも彼女とも呼び難いのですがここでは他者という意を込め彼と統一しましょう)は、長い冬眠から覚めたばかりだそうで、のたりのたりと辺りを散策しています。
    ここならば水に飢えることはありません。彼もまた良い居住地を見つけたと言えるでしょう。あまり衛生的とは言えませんが、彼らにとってそれはさしたる問題ではないようです。

  • 流しの下の鼠
    No.2381549
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    さて、実はここ数日お休みを頂いています。理由は簡単、流行病の疑いがかけられたためです。
    ああ、ご心配無く。既に疑いは晴らされました。僕は変わらず清廉潔白清潔の徒であります。
    が、いただいたお休みが無くなる訳ではなく、今日も今日とてじゃれついてくる蟷螂の子を構いつつ住処を片付けているわけです。ひと足早い連休をいただいてしまい、来週から一体どうなってしまうのやら……。

  • 流しの下の鼠
    No.2381624
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    時に、僕の育てているこの子は一体雌雄どちらなのでしょうか。どちらにせよ可愛らしいので知らずとも問題は無いのですが、せっかくなので確かめてみることにしました。
    おやつにそこらの壁についていた甲虫のようなものを与え、固いそれをカリコリ齧っている間にちょいと後ろを……こら、「はれんち」なんて何処でそんな言葉を覚えてきたのですか。

    確認の結果、どうやら雄のようです。そう言われるとこのすらりとした腹や小柄な体躯も頷ける。可愛いお嫁さんが見つかると良いのですが。
    と言っている間にもうおやつを食べ尽くしてしまったようです。育ち盛りは本当によく食べる……

  • 流しの下の鼠
    No.2382167
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    部屋も粗方片付いたことですし、何ヶ月ぶりに部屋を開けてみることにしましょうか。

  • 流しの下の鼠
    No.2382241
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    あなた方に僕らの見分けがつかないように、僕もあなた方の見分けなどつきません。故に名無しで構わないのですよ、僕も名も無きただの鼠です。

  • 流しの下の鼠
    No.2388389
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    写真を撮ってみることにしました。

  • 流しの下の鼠
    No.2405196
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    良い餌場を見つけました。もちろん、僕のではなく、カマキリの子の、ですが。丸々と太った(とはいえこの子は小柄なので小さめのものですが)コオロギをヒゲの先から爪の先まで食べ尽くす様はもはや圧巻。食べ終えた後も綺麗なものです。
    僕なんかはエビフライのしっぽだとかみかんのスジスジだとかは割と残してしまうので、この子の綺麗な食べっぷりを見習わなければなりませんね。

  • 流しの下の鼠
    No.2408932
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    先程までそこにいた我が子が、振り返ると片目を齧られ、薬を取ってきてみれば両目を食い尽くされ倒れている。そんな夢を見ました。おぞましい悪夢でありました。

    子鼠だったころの悪夢と言ったら、よく分からないおばけに襲われるような夢なんかが主で、母に抱きしめてもらえばたちまち霧散するような単純なものでした。
    いつからでしょう、悪夢が現実を味方につけてきたのは。想像しうる最悪の事態、恐れている現実を突きつけてくるようになったのは。
    きっとこれが大人になるということなのでしょう。事実は小説よりも奇なり、現実は悪夢よりも残酷……なことも、あるかもしれない。

  • 流しの下の鼠
    No.2435355
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    最後の子が亡くなりました。脱皮不全でした。どうやら最後にもう一回脱皮を残していたようです。
    ぐったりと動かず、目が白く濁っていく我が子の皮を少しばかり剥いでみたものの、鼠の僕ではやはり上手く脱がせてやることは出来ず、最後の力を振り絞り頑張ったことすら成し遂げさせてはやれないのだと暗澹たる思いになりました。
    もう水も飲みません、あんなに忙しく動かしていた触覚も動きません。

    半年の命でした。十一月の末に生まれ、五月の末に天へ帰りました。春を迎えるのは絶望的だと言われましたが、たった一匹でも美しい春を見せてやれた。そう思うことにしましょう。
    この子の身体はここに残しておくことにします。この子がここにいた証として。

  • 流しの下の鼠
    No.2444558
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    僕には友があります。頭は良いのですがかなりの変わり者。僕以外の友と一緒にいる所などほとんど見た事がありません。数年来の仲で、尻尾を噛みちぎる勢いの大喧嘩もすれば、同じ食事を食べ同じ布団で寄り添い眠ることもある、それなりに仲の良い友と認識しています。
    その友が、相談を持ちかけてきました。
    ひとまずはと部屋にあげちっこい湯呑みでお茶を出し、話を聞いてみれば、なんと彼は剥製になりたいのだと言うのです。

    僕は面食らってしまいました、いくら友の夢だとて、その柔らかな命を放り捨て天鵞絨の毛並みとつやつやした瞳を残すのみの固い冷たい人形になってしまうことなど、許容できるわけもありません。
    しかし彼の決意は固く、その明晰な頭脳も、くっきりと張りのある声も、臓腑と共に全て捨てるのだと言い張るのです。

    どうやら彼は、人間に恋をしたようでした。僕らを日々追い立て、毒餌を撒き、研究の犠牲にするやつらの仲間に唆されたのです。彼はその命を投げ出そうとしていました。その美しい毛並みを剥ぎ取り鑑賞することを厭わない、残忍な輩に捧げてしまうために。
    僕は必死に止めました、当然のことです。もはや彼は狂気の縁へ片足を突っ込むばかりならず、ずぶずぶとその中へ入ろうとしているのですから。

    喧喧囂囂話し合い、議論を交わし(いくらか怒鳴りあいもしました)あと、彼は帰っていきました。
    去っていく彼の背には変わらず人間の手の脂の匂いがこびりついていました。

  • 流しの下の鼠
    No.2444626
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    問. 彼の剥製を見た時、僕はどのような顔をすればいいのでしょうか。

  • 流しの下の鼠
    No.2444682
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    ……おや、随分と懐かしい顔が見えます。
    もはや輪郭も失いかけて随分やつれてしまった様子。
    彼の言葉はとても齧り心地が良く好きでした。僕がこうして流しの下で独り言をつぶやきだしたのも、ひとえに彼の独り言を耳にしていたためですが、それについて話したことは無いのできっと彼は知らないままなのでしょう。

  • 流しの下の鼠
    No.2467876
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    さて、剥製志望の彼はどうなったかと言いますと。
    結論から言えば、彼は温度も質量も失いませんでした。そしてこれからも奪われることは無いと思います。その事実に僕は心から安堵しています。

    これはひとえに彼が、一友人たる僕の繰り返される懇願に耳を傾け、伸ばす手を掴み、その温もりに気づいてくれたからとしか言い様が無い。彼は自らの力で、ようやく生き物としての自覚と尊厳を取り戻したのです。
    また明日にはしっぽをつまみあげられ薬瓶に詰められる身だとしても、きっと彼は何度でも逃げ遂せることでしょう。誰でもなく、彼自身が瓶詰めの己を望まない限り。

    勿論僕としても、数少ない友人が死の淵を覗き込むことがあれば何度でも引きずり戻しに行くことに努力は惜しみません。生きてさえいれば、そう、命さえあるならば、僕らはこんな寂れた流しの下からでもまたはじめられるのですから。

  • 流しの下の鼠
    No.2484928
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    近頃はどうにも暑くてたまりません。水場だから涼しいとお思いでしょうが、水場というのはとかく湿気が溜まるもので蒸し暑いことこの上ない。
    もしや本格的な夏が来たら僕は蒸し鼠になってしまうのでは無いでしょうか。恐ろしい。

  • 通りすがりの油虫
    No.2487418
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     鼠さん、お久しぶりです。お元気でしたか
    私の方は変わらず。…イヤ、私共と言った方が正しいかな。家族が増えました。30匹ほどの大所帯で御座います。大勢でワサワサとしているせいか、最近人間共に勘付かれまして。憎きホウ酸団子に同胞が数匹ほど召されましたがまぁ、大方元気と申して差し支えないでしょう。鼠さんもお気をつけて。此方からは見えませんが、その、米櫃の下あたりに綺麗なお団子がありましてね。柘榴味では御座いませんが、冥界に連れていかれます。どうか御用心を
     嗚呼、前置きが長くなってしまいました。本日お尋ねしたのは他でもなく、お中元を差し上げようと。時期尚早はご容赦願いたい。手狭になって来ましたので、7月頃に引っ越しをしようと思っておりましてね。手一杯になるでしょうから、今のうちに。という心算で御座います。おや、また話しすぎてしまった。恥ずかしい限りです。早速本題に参りましょう。此方、保冷剤を差し上げます。最近暑くなって参りましたので。残念ながら凍ってはいないのですが、まぁ、この状態でも多少は冷たいですから。寝床にでも敷いて下されば、熱帯夜を乗り切る手助けくらいにはなりましょう。
     すっかり長居してしまいましたので、私はこの辺りで。子供らがお邪魔した時には、どうか遊んでやってくださいませ

  • 流しの下の鼠
    No.2492105
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    やぁ、お久しぶりです。三月ぶりで。
    そうでしたか、この春先は温かく食べ物も豊富でしたからね。元気な子らが生まれたことでしょう、おめでとうございます。……ええ、ええ。気をつけましょう。渡し賃が貯まっておりませんのでね、行ってみたところで追い返されてしまうことでしょうが、気をつけるに超したことはありません。

    これはこれは、貴重なものをありがとうございます。ここ最近は水をひと浴びしてから床に入っていますが、それでもこの暑さには耐え兼ねるというもので……。今夜からはゆっくり眠れそうです。

    いつも頂いてばかりでは心苦しい、出産祝いに引越し祝い、色々兼ねまして僕からは金平糖を。空を見上げることなどろくにない僕らですが、七夕祭りももうすぐですから。
    少しくらい星を夢見たとて、罰は当たらないでしょう。

  • 流しの下の鼠
    No.2493299
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    友人が、帰らぬひととなりました。
    ええ、以前剥製になることを切望していた彼です。

    生き物としての尊厳と、身を焦がす恋の狭間で、どうにか逃げ延び生きる術はないかと。彼も全力を尽くしたと思います。
    僕も出来ることは全てやりました。時間も、言葉も、差し出せるものは全て差し出しました。
    それでも、彼は最後の最後で、あの人間の元へ行ってしまいました。

    耳に穴を開けられ、判別札を提げた彼は、とても清々しく幸せそうです。
    ガラスケースの中で微笑む彼に、僕はもう、何を言ってやればいいのか、分かりません。
    言ったとて届くわけもないので、無意味なのですが。

  • 流しの下の鼠
    No.2493332
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    このやりきれない思いを、一体僕は何処へ向ければ良いと言うのでしょう。「求める価値のあるものは、皆手に入れた瞬間に失われることが約束される」のです。

    あの子も、彼も、求めるべき価値のあるものだったということでしょうか。僕は何を手に入れ、何を失ったのでしょうか。
    今の僕には、なにもわかりません。

  • 流しの下の鼠
    No.2493518
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    失うことよりも、生まれないことの方が恐ろしいと、寝床へ向かう鳩は言いました。
    僕は失うことも、生みだすことも恐れて動けなくなっているだけなのでしょうか。

  • 行き場の無い鳩
    No.2494126
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    どこかで聞いた響きだと探してみたが、やはりこの場所だったか。
    そこかしこを飛び回るうち、窓の外から覗いたことはあったようだ。

    恐れる感情があるというのは美徳だよ。痛みを知らない者は、痛みに晒されても気づくことが出来ないのだから。

  • 流しの下の鼠
    No.2494622
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    こんばんは、昨晩ぶりですね。
    まさか探されるとは思いもしませんでした、番地を伝えておくべきだったでしょうか。

    痛みを知ることは己が身を守り、痛みを知るものは他者に優しくなれる。
    ……それもまた真理でしょう。

  • 流しの下の鼠
    No.2503373
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    いつの間にか、ひとりになってしまいました。あんなに騒がしかったあの子も、良い話し相手だった彼も、時々声をかけてくれたひとも、…誰もいません。
    ここは流しの下ですから、水の音だけが響きます。それならまだ良い方で、何も聞こえないと、この薄ぺらい胸の奥でざあざあ血の流れる音がするのです。それが鳴り出すと僕はもうおかしくなりそうなきがしてしまう。
    徐々に暗くなってきました。手の先から、鼻先から、少しずつ見えなくなっていきます。いずれはここも真っ暗になるのでしょうか。最後まで残るのは多分、さっき食べた木苺の匂いくらいでしょう。

  • 流しの下の鼠
    No.2519531
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    とうとう流行病に侵された鼠です。これで暫くは清廉潔白清潔の徒を名乗ることは出来なくなってしまいました。
    かなりあちこちが痛みます。頭から、喉から、脚から。熱のせいでしょうか。

  • 流しの下の鼠
    No.2651625
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    初秋の鼠です。流行病はこの身体から綺麗に消え失せ、汗水流しながら今日も日々の糧を得るべく駆けずり回っています。
    全くあの時は酷いものでした、高熱のために全身が筋肉痛のように痛み、咳も止まらず、もうあのような目には遭いたくないものです。

    さて、庭の向日葵が枯れて項垂れ、豊かな種を落とすようになりました。今日はそれらを拾ってこようと思います。向日葵の種に限らず種子類は日持ちがする上に潤沢な脂質を備えていますから、蓄えておくに越したことはないのです。

  • 何処ぞの大蜘蛛
    No.2652228
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    やあやあどうも。吾輩は蜘蛛。嗚呼、空を泳ぐ自由気侭な奴らではなくってね、彼方此方立派に巣を張り回る愉快な虫の方ですから呉々もお間違いなく。
    先日漸くその巣が出来たんです、ほら、あちらを御覧なさい。吾輩の身体にしてみれば随分とちいさく足らないものですが、これからどんどん__ええ、何、見つからないって。あちらですあちら、あそこの冷蔵庫の上、部屋の丁度隅に。よくよく目を凝らしてみるとよろしい、見えますでしょう。
    そうそう、それで吾輩が何をしに来たかと申しますと、御挨拶に伺ったので御座いますよ。正式に越して来られるとなりましたのでね。風の噂に胡桃がお好きと伺いまして、よろしければどうぞ。台所からくすねて参ったのですよ、吾輩のこの背にのせたり咥えたりしてね、ええ。
    まあ兎角宜しくお願い致します、鼠さん。決して取って食ったりしませんから、どうか僕を…吾輩を追い出さないで下さい、後生です。

  • 流しの下の鼠
    No.2652362
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    やぁ、こんばんは。初めてお会いする顔ですね。最近越してこられたとの事で……ええと、あの辺かな、…申し訳ない。僕らはあまり目が良くないもので。近々、近くに行って拝見することとしましょう。
    おや、胡桃!これはこれは、お心遣い痛み入ります。ええ、胡桃は大好きです。大切にいただくことにしましょう。
    追い出しなどするものですか、僕らはこの台所に住まう言わば隣人。仲良くしていきましょう、互いの命と自由を脅かさない範囲の限りに。

  • 流しの下の鼠
    No.2664537
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    台風が夏を攫って行かれたか
    訊ねる秋桜手折る秋です。

  • 流しの下の鼠
    No.2669432
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    深夜の鼠です。時にはどうでもいい自分語りでもしてみようかと。

    鼠という産めよ増やせよが使命である種族に生まれながら、僕は子孫を残す気がまったくもってありません。
    残せるだけの体力も健康な身体も有していますが、決して僕の血を引く子を作らないことを誓っているのです。

    僕の半分を作っている父の一族は、弱者は自分のモノ、自分の満足を得るために使う、それが当然の冷たい一族でした。……でした、と過去形で語ってみましたが、それは現在も変わりません。そしてその矛先は、僕の家庭においては母や僕ら子どもに向けられていました。
    子ども……子鼠心にも、それはとても恐ろしい光景に映りました。大人になるということは、番うということは、愛を誓い番ったはずの相手から一生涯虐め続けられる(または自己満足のための生贄とされてしまう)ことに他ならなかったからです。

    もちろん、そうはなるまいと誓った時期もありました。僕は番や子どもを所有物のように扱う青い血の鼠にはなるまいと。
    しかし、やはり何処か父の血が流れているような気がしてならないのです。違う種族の子を育てても、ご近所さんの子を時折構ってみても。
    僕は決して子どもに理不尽を強いず、自らの未熟を棚に上げ他者を嘲笑うようなことをしない鼠になど、なれる気がしませんでした。
    ……何処まで心を磨こうと、どれだけ雪ごうと。コップ一杯の泥水にいくら清流の水を継ぎ足そうと結局泥水であるように。僕はどこまでも父の子でした。

    ですから、僕は子孫を残しません。
    コップを丸ごと空にして、綺麗な水ですべてを洗い流せるその日を、流しの下で静かに待っているのです。

    結局は我が身可愛さに手をこまねき、自分を変えられない怠惰な鼠、それが僕です。

    ああ、そんな所までこれ程恨んだ父にそっくりだなんて。

  • 流しの下の鼠
    No.2819685
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    いつの間にやら随分と日が落ちるのが早くなりました。まだおやつ時にもならないというのに、差し込む陽の光はどこか夕方のそれに似て……明日からの怒涛の日々を嫌でも思わせます。ああやだやだ。

    さて、あれから…と言いますと、剥製となった友を見送ったあとのことです。友人を亡くし傷心の僕は、しばらくは夜な夜な下水に潜り込んでは、名も知らぬ鼠たちとの交流を深めておりました。流しの下の更に奥に棲む彼らは実に気のいいやつらで、僕を「流しの」と呼び、よく話してくれました。そんなざわついた空気は久しく、とても楽しく思われました。

  • 流しの下の鼠
    No.3443292
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    死んだかと思われても仕方のないほどに久しぶりの鼠です。恥ずかしながら、台所の隅に生き延びておりました。
    と、言いつつ、あちらこちらを渡り歩いているうち流しの下に帰ることも忘れていたというのが実際のところ。三途の川を渡るどころか実に愉快に過ごしていたわけです。
    その間にも新たな番を見つけたり、失ったり、まぁなんだかんだとありましたが、一から語ろうとすれば年を越してしまうことでしょう。ここは潔く割愛しておくことにします。

    特に今後は何処へ行くつもりも誰かを迎えるつもりもありませんから、此処で時折日記のように日々の事を連ねるばかりになるでしょう。
    なに、これまでと変わらず、覗いたところで面白いことはありません。鼠が一匹、世迷言を呟くばかりですので。

  • 流しの下の鼠
    No.3446314
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    突然ではありますが、僕は季節由来の冷えにめっぽう弱い鼠です。どのくらい弱いかと言うと、まだ気温が10℃を下回らぬ内からマフラーを巻いて往来を歩き、友人に怪訝な顔をされ、すかさずポケットから懐炉を出して見せれば呆れ返った声で「雪が降ったら炬燵を背負って来る気か」と尋ねられる始末。台所狭しといえど、ここまで寒がりの鼠は僕くらいのものでしょう。
    さて、今年も寒さに凝り固まった腰が悲鳴をあげております。焼き鼠になるのではと思われる程に温めてやればいくらかましにはなるのですが、根本的な解決とは言えません。当然です。
    かと言って医者にかかってみれば「筋肉が無いから熱を生み出せず冷えるのだ、よくよく身体を動かしなさい」との有難いご指導をいただいてしまう。
    巷で噂のジムに通ってみようか……いやしかし、自他ともに認めるとんでもない飽き性なのでひと月と持つ気がしない……。

  • 流しの下の鼠
    No.3467205
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    戸棚の上に置かれたラジオが、今年の寒さは恐ろしいものになると騒ぎ立てています。実際、今朝からの寒さと言ったらとんでもなく、外にはちらちらと白いものが見えます。
    それにしても、"10年に1度"だの"全国に影響が出る大寒波"だの、なんだかんだ毎年似たようなセリフを聞いている気がするのは僕だけでしょうか?
    だからといって例年通りだろうとタカをくくっているわけにもいきません。仮に例年通りだとて、恐ろしい寒さなのには変わりないのですから。

  • 流しの下の鼠
    No.3467542
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    鼠です。随分と久しぶりに流しの下の扉をぱかーんと全開にし、まだ見ぬ新たな友人との邂逅の機会を設けてみました。実に一年ぶりの事です(恐らく)。
    決まった相手と示し合わせ、機密性と安全性の約束された部屋での対話が主流となりつつあるこの界隈で、名もない鼠が部屋を立てる。正直な所、特に期待はしていませんでした。

    しかし事実は小説よりも奇なり、僕は新たな友を得たようです。
    個人情報保護に重きを置く彼の意向に沿い詳細は省きますが、実に楽しく有意義な時間でありました。

  • 流しの下の鼠
    No.3469277
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    ぺトリコール、という単語を聞いたことはありますか。雨の前後に立ち上る独特の匂いで、あれは土やらコンクリートに棲むバクテリアか何かが湿度に反応して発生する匂いだと言われています。(何らかの記事で齧った程度の知識ですので、詳しく知りたい方は調べてみてください)
    香水や、楽曲のモチーフなどに度々用いられるので、それなりに有名な単語なのではないかと思います。
    さて、それでは雪の匂いはどうでしょう。夜の間にしんしんと雪が降り積もった日、朝戸を開けた瞬間に室内に吹き込んでくるあの冷たく胸がすくような独特の匂いです。
    残念ながら雪の匂いには雨のように洒落た名称はつけられていません。しかし、僕としては何方も甲乙つけ難い、季節の変化を感じさせる好ましい匂いです。雪の降る街に訪れた際は是非一度お試しあれ。

    それはそれとして、現在外は不気味な程に静まり返っています。勿論時間帯も要因に加味しなくてはなりませんが、ご存知でしょうか。雪はその空気をたっぷり含むフカフカとした形状から、周囲の音を吸収する性質を持ちます。
    ……つまりは、そういうことです。

  • 孤独な何か
    No.3469298
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    今晩は。何、怪しいものではない。自分は通りすがりの不束者、それらしく独り言を吐き捨てていこう。
    さて、いきなりだが鼠さんはクリスマスとは何か、聞いたことはあるかい?
    セント、何たらが貧しい妹のために煙突から投げ入れた金貨が靴下に入ったとか、いやはや、あまり関係ないだろうけれども。
    当日に持ってくるのを忘れそうだから、今日用意できたものを君にあげよう。
    ハンケチとクッキーだよ。良さげな布団と美味しく食べてくれることを願おうか、あわよくば君が何事もなく冬を越せますように。

  • 流しの下の鼠
    No.3470655
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    やあ、こんばんは。よもやあの時間に通りかかるひとがあろうとは、年末が近いようですね。
    ……さて、クリスマス。人間の更に上位存在の誕生を喜ぶ祭りであることも、贈り物をする風習がニコラスおじさんの素敵なサプライズ由来であることも、人間の傍で暮らす僕らは何となく知っています。そして、誕生したとされる上位存在は、小さな鼠である僕らを救いはしないでしょうが、このきらきらと楽しげなお祭り騒ぎに乗っかるくらいは許されるだろうと、僕らもこの時ばかりは冬篭りのために溜め込んだご馳走をちょっとばかし引っ張り出して楽しんでおります。

    さて、今回はその楽しいお祭り騒ぎに本物のサプライズが登場することになったようだ。香ばしく甘いクッキーだけでも十分すぎるというのに、暖かい寝床まで加わるとなれば、これは僕も賛美歌のひとつでも歌わねばならない気がしてくるというものです。
    しかし本来賛美すべきは、このような温かい心遣いを差し出せる存在です。故に僕らの賛美歌は天に住まう上位存在ではなく、優しい心を持つ貴方に捧げたいと思います。心優しきひとにチーズの祝福があらんことを。あーめん。

  • 気まぐれ猫
    No.3472052
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    《メリークリスマス 親愛なる鼠》

    以前は楽しい時間をありがとう
    素敵なクリスマスになりますよう
    心よりお祈りしているよ

    ……それにしても個人情報に重きを置く友人という言い方は些か硬すぎる、絵を見られて恥ずかしいと思うただの気まぐれ猫だと訂正しておいて。

    クッキーとハンケチは持っているみたいだから、俺からはこれを。卵が真ん中に入ったミートローフを1切れ、温かいうちにたべてな。
    また近々遊びに行くよ。
    仕事のないときにな。

  • 流しの下の鼠
    No.3481651
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    年末の鼠です。クリスマスの晩、友人からいただいた身に余り過ぎるご馳走を平らげたその後の忙しさといったら、ネズミ花火もかくやという走り回りっぷりでした。
    とはいえ、今年は暖冬との事で、冷蔵庫の後ろに住処を移すことはやめておき、みかんを食べながら実にのんびりとした年末です。今年は表年だそうで、実に甘くて濃厚なものが多いように感じます。ビタミンも豊富ですから、是非積極的に食べるようにしていきましょう。

    さて、台所(と、その外の世界)に住まう生き物各位、今年もお世話になりました。
    来年も冬の寒さや懐の寒さに負けることなく健康な一年を過ごすことが出来ますように。流しの下からひっそりとお祈り申しあげます。
    良いお年を。

  • 流しの下の鼠
    No.3502921
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    まるで苗字か何かのように僕の名前欄に収まっている「流しの下」という場所、その名称を正しく認識されているのかいつも微妙な疑問を持っています。また、僕自身も正しくその名称を扱えているのかどうか一抹の不安を覚えることも多々。今回はそれについてはっきりと定義しておくことにしましょう。

    台所の皿やら野菜やらを洗うところ、いわゆる水道の蛇口とシンクは、使用者の身長に配慮した一定の高さを保ちつつも、大した深さは要求されません。故に、多くのシンクの下はかなり大きなスペースがあり、扉や引き出しなんかをくっつければボウル、フライパン、菜箸なんかをしまっておくことが出来ます。僕の指すところの「流しの下」とはこの収納スペースの奥の方、シンクに流れ込む水を浄化施設へと導いていく長く太い管のちょいと隣あたりのことを指しています。
    台所への出入りに無理がなく、程良く身を隠せる程度に薄暗く、水音に紛れて移動も容易い、住むにはなかなか適したところです。少し湿気がひどい所は玉に瑕ですが、冬の乾燥にはむしろ丁度良いかもしれません。
    大したレビューではありませんが、台所への引越しを検討されている生き物各位の助けになれば幸いです。

  • 流しの下の鼠
    No.3518093
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    鼠には蟇蛙の友人があります。彼は弦楽器を片手に全国津々浦々演奏して回り、行く先々でいただくおチップというやつで生計を立てているそうで。吟遊詩人というか、見た目にはどっちかと言うと遊び人みたいな、まぁそういう事を生業としているやつです。
    鼠は彼の性格なんかもさることながら、やつのつくる曲が非常に好きで、近辺にふらりとやってきて演奏会をすると聞けば必ず足を運びます。もちろん一般的な鼠である僕に作曲や作詞の心得はありませんから、コードだのなんだの、小難しいことはとんと分かりません。僕にとってコードは齧るものなのです。

    ただ、彼が弦楽器を掻き鳴らすその手つきが異常なまでに熟練していることや、旋律に乗せられる歌詞が彼の等身大の苦しみや哀しみであり、同時に僕らがそれぞれに持つ地獄に寄り添うものであることくらいはなんとなく解るのです。
    以前そのようなことをこぼした時も彼は「そのくらいでいいんだよ」と笑っておりました。

    彼は今この国のどこにいるのでしょう。なんかめっちゃ演奏が上手い割に何故か有名とは言えない彼の音楽がひとりでも多くの人に届くことを、彼のファンとして、また友人として、願わずにはいられません。

  • 流しの下の鼠
    No.3530359
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    少し、昔の話でもしましょうか。
    この流しの戸を開け、真っ直ぐ4mばかし進んだ所に、リビングルームがあります。今でこそ片付いて静かなものですが、そこは以前、多くの人間が出入りする、いわゆる憩いの場でした。
    夜になると仕事や学業を終えた人々が一人、また一人と集まり、お茶や軽食を楽しみながら会話に花を咲かせていたものでした。当時の家主は脳天気なもので、戸を叩くものがあれば大概喜んで招き入れ、お茶を振舞っておりました。
    しがない鼠である僕はその穏やかな空間に混ざることは出来ませんが、家主お手製のホットケーキの欠片なんかを時々拾っては、勝手にご相伴に預かっておりました。

    ある日、なにやら大声で話す若者が戸を叩きました。現れた彼はいわゆる不良然とした振る舞いを隠そうともせず(むしろ誇らしげですらありました)周囲の人々は眉を顰めました。
    しかし家主はいつも通り、一緒にお茶を飲み、話をすればきっと打ち解ける、と彼を招き入れたのでした。

    それが最大の悪手であったことは言うまでもありません。招き入れられた彼は、次の日から度々自分の仲間を連れてきては、お世辞にも広いとは言えないリビングルームを占領しはじめたのです。
    節度も遠慮も知らない彼らによってたちまち部屋は荒れ放題、家主がどれほど窘めようと右から左。元々通っていた人達はいなくなり、不良たちが去った後もこの家は酷く評判を落とし、誰も寄り付かなくなりました。

    荒れた部屋を片付ける家主に誰かが言いました。

    「なんであんなヤツ入れたんだ」

    まったくもってその通りです。僕は流しの下で同意しました。
    あなたもどうか気をつけて。たったひとつの腐った胡桃が、籠一杯に拾った胡桃をみんな駄目にすることなど、そう珍しくは無いのだから。

  • 流しの下の鼠
    No.3537175
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    最近街に赤やらピンクやら華やかな色がそこらじゅうを彩り、なんとも甘ったるい香りが漂っています。
    ええ、ご存知のお方も多いでしょう。聖バレンタイン氏の命日であり、チョコレイト会社の陰謀の日、そして、非常に奥ゆかしく、直球に好意を伝える事を良しとしない気質を持つ日本人(と、恋愛に不慣れな若人たち)の背中を少し押してくれるきっかけの日、バレンタインが近いようです。

    もっとも、鼠に限らず多くの動物はあの茶色い物質を口にしたが最後、1時間もしないうちに血液が溶解し、文字通り血反吐を吐きながら聖バレンタイン氏に殉ずることになってしまうので味の程は知りません。
    ただこういった機会があるだけで普段は日頃の感謝だとか好意だとかに関心のない僕でも、世話になっている友人にどんぐりのひとつでもくれてやろうかという気持ちになるのだから、案外僕も雰囲気というものには弱い、単純な鼠なのかもしれませんね。

  • No.3537205
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    えらく器用に鳴く鼠も居たものだな。あるいは宵の底冷えに充てられて私の頭が良くない方向に覚醒しているか。ともあれ聞こえてしまったものは仕方がない、後者なら素面の身には笑い話にもならないがね。
    この資本主義社会の中で菓子屋の策略に踊らされているようでその実、我々人類も霊長類の御多分に漏れず、もっと本能的に、ただ繁殖の為の求愛行動をとっているに過ぎない気がしてならんのさ。国外では花束が主流のようだが。往々にして人間は、まるで自分達が他の動物とは一線を画しているかのように振るまう。生やした臓物が偶然カカオ成分に強かったくらいの我々を、だ。ほんの弾みさえあれば、君が流しの下から飛び出し、我々を畜生として支配する時が来るかもしれんな。

  • 流しの下の鼠
    No.3537609
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    愛だの恋だのという言葉は、性欲を美しく言い換えたものに過ぎない。そのようなことを言った人があるそうですね。
    結局のところ人間もまた僕らと同じように獣であり、あれやこれやと言い換えたところで最終的には本能に突き動かされる、本性に抗うことは出来ない、と。

    しかし僕はそうは思いません。あなたがた人間は有るだけのものを欲し、無いものを求め、分析し、支配する。考え、挑み、神の領域にさえ手を伸ばす。その為ならあなた方は時に本能すら置き去りにするでしょう。「本能を捨て置いてでも求めるものを追うという本能」という訳の分からないものを持ち合わせているあなた方は、明らかに僕らとは違う。それはカカオ成分に強いというその程度のことじゃあ無いはずだし、何より僕らは他種族の支配などにそもそも興味が無いのです。

    故に僕らは願っています。僕ら獣の仲間に別れを告げ外れていったあなた方が、少しでもその弱く細長い身体から溢れんばかりの欲を御し得る理性を持ち合わせているように、と。

  • 流しの下の鼠
    No.3557662
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    あなたは、毎日一枚のビスケットを貰うことが出来ます。
    鼠であるあなたにはそれで十分。それを齧っていれば満足して一日を過ごすことが出来ます。
    ここまで、良いですね?

    さてある日、あなたがいつも通りビスケットを貰うと、どこからともなくこねずみがやって来ました。随分お腹を空かせているようです。

    腹を空かせているこねずみを無視する訳にはいきません。
    仕方なくあなたはこねずみにビスケットをみんなやりました。

    次の日、あなたがビスケットを受け取ると、並んだこねずみもビスケットをもらいました。
    食べ終えたこねずみはまだ空腹なようで、あなたのビスケットをねだります。

    育ち盛りだから仕方ない。あなたはそう思いビスケットを半分やりました。

    毎日ビスケットを貰っては、その半分をこねずみに取られる生活が続きます。

    しかしながら、日の食事が半分に減らされてしまってはさすがにお腹が空きます。
    あなたは外に食べ物を探しに出ることにしました。

    幸運にも、パンの切れ端が見つかりました。ぱさついておいしくはないけれど、お腹は満たされます。

    巣に持ち帰るとこねずみが寄ってきました。
    ちょうだい、そのパンちょうだい
    とんでもない、これはやっとのことで手に入れた食事。これ以上奪われてなるものかとあなたはパンを抱えて逃げ出します。

    どうしてくれないの、少しくらいいいでしょう、こねずみはちぃちぃ叫びます。

    あなたはその次の日から、見つけたパンくずすら、隠れて急いで食べてしまうしかなくなってしまいました。

    あなたはこのこねずみを好きになれそうですか?

    ……いや、大した話では無いのです。しかしこれは世の中に溢れている話で、その立場であった人にとっては何の話かすぐに見当がついてしまう。そんな内容のはずです。

    ビスケット、子どもの頃は大きく感じられたのに、今やその気になればひとくちに収まる代物になってしまいましたね。
    あの頃欲しかったおおきな丸いビスケットは、きっともう、この世のどこにも無いのでしょう。

  • Not found
    No.3560400
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    おや、これは珍しい。鼠の与太話にしてはとても筋の通るありふれた話じゃありませんか。
    なるほど、ビスケットと物乞いのこねずみですか...聞こえてしまった以上無視とはいけませんね、
    では私もここで一つ口を挟ませていただきましょう。

    端的に述べて仕舞えばそのこねずみにもよると思いますよ。
    身を削ってでも与えたいのなら好きでしょうし、追い払いたいほど鬱陶しければ嫌いなのでしょう。
    そして私は好きになれそうにありません。
    いくらこねずみといえど、何処の穴の者かも判らないまま食べ物だけを求めるだなんて厚かましいにも程がありますよ。

    幼いときは何もかもが大きく魅力的に映りますから。
    嗚呼、私たちはついにビスケット一枚も純粋な気持ちで楽しめなくなってしまったんですね。
    知識は武器だなんて言った人もいるようですが、私にはどうにもそのようには思えないのです。
    知れば知るほど危険を避けるようになって、無策で飛び込むための勇気を失ってゆくように感じられてなりません。

  • 流しの下の鼠
    No.3582670
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    やあ、まさかこんな長ったらしい……のはいつもの事でしたが、よく分からない話に耳を傾ける存在があろうとは。

    ええ、ええ。同意します。正直に申し上げてしまえば、僕もあなた同様にそのこねずみは好きにはなれない。なれませんでした。
    しかし。もし、もしも。分け与えても安心できるほどにたくさんのビスケットが与えられていたならば。……弱く、厚かましい、ぽっと出のこねずみにビスケットを分けてやって、心から慈しむ未来もあったのだろうか、と思わないでもないのです。

    ふふ。知恵をつけるほどに頭でっかちになり、そのおおきな頭蓋の中で全てを完結させてしまうというのは、考える葦の異名を持つあなた方にはよくあることのようですね。
    知識というのは、新しい、なにかビスケットの代わりになるようなもっとすてきなものがあるとして、それを探しに行くための杖となるのではないかと僕は思っています。目的はそのすてきなものを見つけてこの手に収めることですから、危険に敢えて身を晒す必要は無いのです。
    それでも、あなたがその身をいっそ危険に晒してでもと思えるほどになにか、知識によって行動も思想も制限され、蜘蛛の巣に絡まったような閉塞感を感じているのであれば……
    …時には、ビスケットを箱で買ってきて全部自分一人で食べてしまうような、幼い衝動性を満たしてやるのも、また1つの方法です。もちろん、法という最も外側の枠は守らねばなりませんけどね。

  • 流しの下の鼠
    No.3708891
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    さて、かれこれ3ヶ月が経過しましたが特に僕は変わりなく健康そのもの。今度は蚕とかいう虫の子らを育てたりなんかして多少生活環境に変化はありましたが……まぁ些細なことです。
    数年前からぽつりぽつりと連ね続けてきたこの世迷言も、いつの間にやら百投目だとか。こうして見返せば様々なことが思い出され、なかなかに感慨深いものがあるというものです。
    とはいえ、これからも特に変わりません。時々ちょっとした面白さやら考え事やら、誰かとの一瞬のやり取りなんかも含みながら、このなんの意味も脈絡も無い呟きは続いていくのでしょう。

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