朝は苦手だ。眩しいし、眠いし、生き急かされたような感じして心苦しい。でもこの世界に生きる人は皆朝に起きて夜に寝る。昔から変わらない習性を僕一人の都合で文句を垂れるようなことは出来ない。
朝食は味噌汁を一杯だけ。ここ最近不調気味で食欲もあまりない。正直寝起きなんかは、昼にまでは活動出来そうなくらいの量の食べ物を胃に押し込むだけで精一杯だ。
服を着替えて、歯を磨く。特に冬場は廊下が冷蔵庫のように冷えている。あまりの寒さに1度布団に戻る。睡魔に襲われて10分だけ寝落ちた。直ぐ親に叩き起されて、鬼のような形相が目に入ったので慌てて出掛ける準備を整える。
定期と、ノートと、教科書と、スマホ。旅にでも出掛けるのかという程に膨らんだリュックを背負って玄関のドアを開けた。